ご挨拶

九州大学大学院医学研究院形態機能病理学 小田義直

2018年5月に金沢大学の野島孝之先生から日本骨軟部腫瘍研究会幹事ならびに事務局を引き継ぐことになりました。今後共どうぞ宜しくお願い申しあげます。本研究会は1987年に「類骨osteoidを考える会」として発足し、主に骨腫瘍の病理診断について症例検討を行っていたことからBone Tumor Club (BTC) とも呼ばれていました。その後軟部腫瘍の病理診断も取り上げるようになり「日本骨軟部腫瘍病理研究会」という名称となり、更にいわゆるJaffe のtriangleである整形外科医、放射線科医および病理医の三者によって熱心に研究会が執り行われることになったことから「病理」という名称がなくなっています。今年で31年目を迎え5月の産業医科大学病理、久岡正典先生にお世話いただきました会で60回の研究会開催となります。原則年に2回日本各地で開催され、2年に一度は韓国骨軟部腫瘍病理医との合同カンファレンス、いわゆる日韓BTCも日本と韓国の持ち回りで開催されます。病理医だけではなく整形外科医および放射線科医も会員ですので日本整形外科学会骨軟部腫瘍学術集会あるいは骨軟部放射線研究会との合同カンファレンスとして会が開催されることもあります。病理医および放射線科医の先生方は研究会参加によって専門医資格更新のための単位を取得することもできます。

いわゆる5大がんの診断・治療の全国均てん化が一段落ついたところですが、骨軟部腫瘍はその診断と治療が困難であり均てん化がなされていない希少がんの一つであり医療政策上も注目されています。その病理診断には近年では免疫染色はもちろんのこと、遺伝子解析が必須の腫瘍もありますが、HE標本の詳細な観察と画像情報を含めた臨床像の把握が基本であることは昔から不変です。

骨軟部腫瘍の診断・治療に興味を持つ若手病理医、整形外科医、放射線科医に積極的に参加してもらいこの研究会を通して次世代の後継者の育成も図って行きたいと思います。国際的な骨軟部腫瘍の研究会や学会としてはInternational Society of Bone and Soft Tissue PathologyやInternational Skeletal Societyがあり、そのような場で活躍できる人材も育成してゆきたいと思います。そのためにはこの研究会を若手医師にとってより魅力的なものに発展させてゆく必要がありますので、皆様のご支援、ご指導を宜しくお願い申しあげます。